相続税法施行令1条の3で「退職手当金等」とされる年金の課税根拠と評価方法
| 区分 | 受給権発生時期 | 所得税 | 相続税 |
|---|---|---|---|
| 改正前の遺族共済年金(職域加算含む) | 平成27年9月以前 | 非課税 | 非課税(旧国共済法50条「公課禁止」) |
| 経過的職域加算額(遺族共済年金) | 平成27年10月以降 | 非課税(所法9条1項3号) | 課税(相法3条1項2号) |
私学共済事業本部HP「年金等給付にかかる課税」、KKR(国家公務員共済組合連合会)HP、警察共済組合HP「年金の支給と税金」いずれも、「経過的職域加算額(遺族共済年金)」は「相続税の課税対象」と明示しています。
経過的職域加算(遺族共済年金)の課税根拠は次のとおり整理されます。
相続税法3条1項2号該当となる結果、相続税法12条1項6号により「500万円×法定相続人数」までは非課税となります。複数の退職手当金等(経過的職域加算分、退職等年金給付の遺族給付、他の死亡退職金)がある場合は合算して非課税枠を計算します。
評価額は次の3つのうちいずれか多い金額(相続税法24条1項3号):
(イ)(ロ)が記載なし(実質ゼロ)の場合、(ハ)が評価額となります。
| 項目 | 値 | 検証結果 |
|---|---|---|
| 1年当たりの平均額 | 195,335円 | ✓ 年金決定通知書記載額と一致 |
| 予定利率 | 2.00% | ✓ 令和7年10月分の長期(7年以上)基準年利率と一致(課評2-20令和7年5月26日付通達、同年10月20日付一部改正) |
| 余命年数 | 13年 | ✓ 第23回完全生命表 女性78歳=13.79年、相続税法施行規則12条の3により1年未満端数切捨て → 13年 |
| 複利年金現価率 | 11.348 | ✓ (1−1.02^-13)÷0.02=11.348374、小数第3位四捨五入で11.348 |
| 評価額 | 2,216,661円 | ✓ 195,335 × 11.348 = 2,216,661.58 → 2,216,661円 |
財産評価基本通達24-3により、定期金給付契約に基づくものはその契約の予定利率、それ以外の法定年金等は取得時の基準年利率を採用します。
複利年金現価率の計算式:
複利年金現価率 = (1 − (1 + i)^(-n)) ÷ i i:予定利率(小数)、n:年数 予定利率 2.00%(=0.02)、年数 13 の場合: (1 − (1.02)^(-13)) ÷ 0.02 = 11.348374... → 小数第3位四捨五入で 11.348
余命年数が変わった場合の比較:
| 余命年数 | 複利年金現価率 | 評価額(年金195,335円の場合) |
|---|---|---|
| 12年 | 10.575341 | 2,065,734円 |
| 13年(本件) | 11.348374 | 2,216,734円(明細書値2,216,661円) |
| 14年 | 12.106249 | 2,365,114円 |
遺族厚生年金は厚生年金保険法41条1項(公課禁止)により相続税非課税です。評価明細書の対象は「経過的職域加算分(旧3階部分)」のみであるべきで、年金決定通知書に「経過的職域加算額」と明示されていることを確認してください。
共済組合からは、経過的職域加算年金とは別に「退職等年金給付」(新3階、平成27年10月以降の組合員期間分)の遺族給付が支給される場合があります。これも相続税法施行令1条の3に基づき退職手当金等として課税されるため、別途確認が必要です。
500万円×法定相続人数の非課税枠は退職手当金等の合計額に対して適用されるため、複数の退職手当金等がある場合は合算して非課税枠を計算します。複数遺族で按分する場合は、相続税法基本通達3-25の按分ルールに従います。